大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

岡山地方裁判所 昭和52年(わ)166号 判決

本店の所在地

岡山県備前市西片上五一番地の六

法人の名称

高田窯業株式会社

代表者の住居

岡山県備前市浦伊部九七三番地の二

代表者の氏名

高田稔

本籍

岡山県備前市浦伊部九七三番地の二

住居

右同所

会社役員

高田稔

昭和四年四月一六日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官川上磨姫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人高田窯業株式会社を罰金三〇〇万円に、被告人高田稔を懲役六月に処する。

被告人高田稔に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人高田窯業株式会社は、岡山県備前市西片上五一番地の六に本店を置き、耐火れんがの製造販売業を営むもの、被告人高田稔は被告会社の代表取締役として、その業務全般を統轄管理しているものであるが、被告人高田稔は被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、昭和四八年三月一日から昭和四九年二月二八日までの事業年度における被告会社の所得金額は六、〇六〇万六、七一三円で、これに対する法人税額は二、一四八万二、二〇〇円であるのに、売上の一部を除外し、原材料の架空仕入を計上するなどの不正行為により、所得の一部を秘匿したうえ、昭和四九年四月二九日、所轄の岡山県赤磐郡瀬戸町瀬戸七〇番地瀬戸税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は一、八二二万八、一五四円で、これに対する法人税額は五九九万七、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税一、五四八万五、二〇〇円を逋脱したものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人高田の検察官に対する供述調書、同人の大蔵事務官に対する五一・九・二七付、五一・九・二八付、五一・九・二九付、五一・九・三〇付、五一・一一・二四付、五一・一一・二六付、五一・一二・三付、五一・一二・八付、五一・一二・一三付各質問てん末書、同人作成の五一・一二・一三付答申書

一  山根志士の検察官に対する供述調書、同人の大蔵事務官に対する五一・九・二八付、五一・九・三〇付、五一・一一・二九付各質問てん末書、同人作成の五一・九・三〇付上申書

一  鈴木東海の検察官に対する供述調書、同人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  小笠原勤の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官佐々木憲二作成の五一・一一・三〇付、五一・一二・一〇付、五一・一二・二五付各調査事績報告書

一  大蔵事務官岩崎巌作成の五一・一〇・二二付、五一・一一・一九付、五一・一二・四付(二通)、五一・一一・二〇付各調査事績報告書

一  大蔵事務官行広昭始作成の五一・一二・一付、五一・一〇・二六付各調査事績報告書、同人作成の脱税額計算書、五二・三・五付回答書

一  鈴木文子、堀口文宏、徳永正俊、遠阪靖子、大久保一子、松本知之、森山正弘、角野博示、高田秀利の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  山根桃樹作成の上申書(五一・一〇・一二付)、答申書

一  松本尚邦、石橋孝義作成の各上申書

一  森忠夫、石橋孝義、元治正夫、大島英男、(五一・一〇・二二付、五一・九・三〇付)額田早雄作成の各証明書

一  吉田允也、大森侃二、日笠光(五一・一〇・一八付、五一・一一・二三付)野田郁也、新田演懋、大塚義一、河辺敏子、原宗弘、春元正雄、青武雄(謄本)、山田倫正作成の各回答書

一  大森侃二、野田郁也、原田種美、大塚義一、河辺敏子、原宗弘、岩本昇海、高田秀利作成の各証明書

一  瀬戸税務署長作成の青色申告の承認の取消通知書謄本

一  押収してある補助伝票綴(昭和五二年押第五一号の一、三ないし二二)、領収書綴(同号の二三)、製品、仕掛品在庫綴(同号の二四)、売上、仕入、未払補助簿(同号の二五)、受払残高表(同号の二六)、御見積書(同号の二七)、法人税決議書(同号の二八)

(法令の適用)

被告人高田の判示所為は法人税法第一五九条第一項に該当するので、所定刑中懲役を選択し、その所定刑期の範囲内で同被告人を懲役六月に対し、情状により刑法第二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予し、被告会社については法人税法第一六四条第一項、第一五九条第一項を適用して、被告会社を罰金三〇〇万円に処し、訴訟費用についてはその二分の一ずつを刑事訴訟法第一八一条第一項本文により各被告人の負担とする。

よって主文のとおり判決する。

昭和五二年八月三一日

(裁判官 三島昱夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例